「ねたあとに」連想日記 その7 軍人将棋

ねたあとに

ねたあとに




さて、軍人将棋(または「行軍将棋」)である。タイトルを言うだけで人に伝わるゲームが、お店で買えるゲームが、ようやく登場だ。

行軍将棋ゲーム

行軍将棋ゲーム


通常の将棋では駒に書かれた文字が上になるよう配置され、互いにその駒が何であるか認識できる。しかしこの軍人将棋では駒を全て裏向きにし、相手にそれが何の駒であるか見えないようにする。駒同士の勝敗表と対戦の結果を見て相手の駒の正体を推測するのだ。

勝敗表*1

大将 中将 少将 大佐 中佐 少佐 大尉 中尉 少尉 飛行機 タンク 騎兵 工兵 スパイ 地雷
大将 - × -
中将 × - -
少将 × × - -
大佐 × × × - × × -
中佐 × × × × - × × -
少佐 × × × × × - × × -
大尉 × × × × × × - × × -
中尉 × × × × × × × - × × -
少尉 × × × × × × × × - × × -
飛行機 × × × -
タンク × × × × - × -
騎兵 × × × × × × × × × × × - -
工兵 × × × × × × × × × × × -
スパイ × × × × × × × × × × × × - -
地雷 - - - - - - - - - × - - × -

ローカルルールが多種あるためこの表の限りではない。実際作中でのルールでは二つの歩兵を一つのマスに同時にぶつける「ニッホヘー(二歩兵)」が認められている。



さてこのゲーム、両者の駒を見てもいい審判が必要なのが難点だ。「3人で遊ぶゲーム」でありながらそのうち1人は「遊んでいない」。2人で遊べるゲームなら、途中でゲームを辞めたくなったら「投了」として負けになるだけだが、審判が辞めたいと言い出したら大変だ。またその審判が本当に正しく裁定を下しているのか疑念を抱く人もいるだろう。
やはり勝敗判定は2人で行うのが一番だ。しかし相手の駒は見てはいけない。見ないまま勝敗の結果だけ知る方法はないだろうか。と子供の頃考えた。


思いついたのは「スクラッチ式」である。紙に印刷された銀の膜をコインで削るあのスクラッチを用いる。用いるというより、はじめから軍人将棋という用具を、そういう商品として売り出すという案である。



上の勝敗表の、駒の順序を変えて配置したものを作る。例えばこんなふうに。

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
少尉 飛行機 タンク 少将 中佐 少佐 地雷 大将 大尉 騎兵 中将 工兵 大佐 スパイ 中尉
A 中尉 × × × × × - × × × × -
B 大将 - - ×
C 少佐 × × × × - - × × ×
D 大佐 × × × - × × -
E 大尉 × × × × × - × - × ×
F 騎兵 × × × × × × - × × - × × ×
G スパイ × × × × × × - × × × × × - ×
H 少将 - - × ×
I 中佐 × × × - - × × ×
J 地雷 - × - - - - - - - - × - - -
K 少尉 - × × × × × - × × × × ×
L 飛行機 - × × ×
M タンク × - × - × × ×
N 中将 - × -
O 工兵 × × × × × × × × × - × ×

双方が持つ15ずつの駒には、一方がA〜Oまで、もう一方が01〜15までの字が書かれている。裏には何も書かれていない。それぞれどの駒が何であるかだけを表した別の表(上の表の、それぞれ上部と左部だけ書かれた部分)をそれぞれが持つ。つまり表は合わせて3部あることになる。そしてそれらの表の各マスは、A〜Oと01〜15が書かれたマス以外全て銀の膜で覆われており、駒の正体が分からないようになっている

ゲーム開始時、プレイヤーはそれぞれ自分の担当する陣営の正体が書かれた別表を持ち、相手に見られないようにして銀の膜部分をスクラッチする。それを見ながらA〜Oと01〜15が書かれた駒を配置する。
ゲーム中に駒と駒が衝突した場合、例えばそれらがFと12だったとき、勝敗表のFと12が交差するマスをスクラッチする。○ならFの駒が、×なら12の駒の勝ちである。





問題は一度遊んでしまうと駒の正体が明らかになってしまう点である。なのでこのスクラッチ式の勝敗表と別表はこの軍人将棋セットにたくさん同梱されていればよい。100枚とか、200枚とか。なくなったら別売りのを買うとか。