蛇よ!感想

というわけで急遽「蛇よ!」(http://www.siscompany.com/03produce/09hebi/)が見れることになったので見てきました。これまで松尾スズキの舞台を生で鑑賞したのは「ニンゲン御破算」「ドライブ・イン・カリフォルニア」「イケニエの人」の3作だけでして(スカパーで放送されたのもいくつか見ましたが)まだまだ松尾ビギナーな僕なんですけども、今回の大竹しのぶとの2人舞台、しかも全編コント(!)というのはさてどんなものか、事前情報を入れずに見に行ったわけでした。しかもB列(前から2列目)で!
以前にも書いた気がしますけど、僕は松尾スズキという人間を「毎回サプライズを見せてくれる演出家・脚本家」であると思っているんです。その意味では今回も全編「大竹しのぶがこんな事を!」という種類のサプライズは満載だったわけです。もちろんそれに女優として答える大竹しのぶは一幕の出から素晴らしい狂いっぷり演じっぷりであったですし、松尾さんもいちいちオカシイ動きで笑わせてくれました。
でも。
んーと、なんでしょう。見終わった後になんだか物足りない感じを覚えたんですね。で一晩たってわかったのは、そうか、これがコントであるからだと気付いたんです。コントにはオチはあっても結末がない。その一幕で演じたストーリーが結局どこへ行き着くのか、その帰着点がない、あるいはあっても希薄である、という事なのかもしれません。何だかよく分からないかも知れませんが。つまりこれは以前に見た松尾スズキ氏の芝居の「これはどうなっちゃうんだろう感」が味わえない短い話を見たことに対する物足りなさなのかも知れません。つまりこのコント4本+映像3本という形式の舞台ではどうしようもないことだったわけで。
以下雑談。
○3本目の「これからの人」で大竹さんが客席に降りて行って1人の観客に「どこから来ましたか?」と聞くシーン、僕の近くの人が答えてたんですけど、大竹さんの質問になぜか「杉並区です」と即答してたんですね。恐らくそんなに即座に答える観客はいないらしく、聞いた方の大竹さんもその答えに対してしばらく固まってたのが面白かったです。で舞台に戻って「杉並区・・・木がいっぱいあります!」とか言ってるし。
○最後の「刺したね」のラストで松尾さんがお札を撒くんですけど、さすが前から2列目、すぐ近くまでお札が飛んでくるんですよ。見たら本物ですよあれ!50万円くらい撒いてるんじゃないかしら。ちなみに僕の斜め前のご夫人の膝の上に落ちた1枚は、そのご婦人がカーテンコール終了後にそっと舞台の上に返していました。