「ねたあとに」連想日記 その1 ケイバ

長嶋有ファンのお友達から薦められた「ねたあとに」を読んでいます。

ねたあとに

ねたあとに

山荘で過ごす男女が夜に行う「あそび」の様子を描いたお話。いやこれをお話と言っていいのか。まだ途中までしか読んでいないのだけど、これがもう本当に「何も起こらない」。山荘で行われる様々なあそびを一章につき一種目描いている。「あそび」は特に意味のない、ただ本当の「あそび」。勝敗によって誰も何も得ず何も失わない。いい大人が集まって麻雀牌を使って麻雀をやらずに「ケイバ」をするのだ(!)。
この「何も起こらない」という点を挙げて貶しているつもりはない。ただ正直に読んだまま本の印象を書くとこうなっただけである。最初はせっかく久しぶりに活字の本を読むのだから読み終えたら感想でも書こうかなとか思ってたのだけど、ちょっとそれは無理だということに気付いた。しかしゲームは好きなので、以降はこの作品に登場するゲームについての考察と、そこから連想される勝手なことを書くことにする。なのでこれは書評ではない。

第一章は「ケイバ」。ルールは以下の通り。

1.ケイバ

  • 136枚の麻雀牌をよく混ぜ、そのうち135枚を9×15の長方形型に並べる。9列に1〜9の数値を対応させ、これを9頭の馬に見立てる。プレイヤーは自分の担当する馬を決め、名前を付ける。
  • 余った1枚をめくり、そのランクに当たる列の手前側から向こうへ差し込む。列は牌1枚分上にずれ、向こう側から牌1枚だけはみ出す。
  • はみ出した1枚をめくり、同様にそのランクに当たる列の手前に差し込む。以下繰り返し。
  • めくった牌が字牌であれば同じ列に差し込む。連続して字牌がめくられればその度に同じ位置に差し込み続ける。(最初にめくった1枚が字牌であるときの処理については記述がない)

麻雀牌を使った、麻雀でない遊びのうちのひとつ。割と有名なゲームだと思う。実際検索するといくつか出てくる。

Yahoo!知恵袋 一人で出来る麻雀牌を使った遊び
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1216720382
麻雀牌ケイバブックイカ
http://www5e.biglobe.ne.jp/~jyokun/mahjong_derby/index.html


こうした「山がいくつかあり、それぞれに数値が対応していて、めくられたモノはその数値に対応する山に移動させ、その山から一枚取る」というルールの遊びで自分が最も最初に知ったのは「時計」だと思う。トランプの一人遊びだ。

  • トランプ52枚をシャッフルし、4枚ずつの山を13組作る。このうち12組を時計の文字盤のように丸く並べ、中央に残る1組を置く。それぞれ時計の文字と同じ数値を対応させる。中央は13。
  • まず中央の山から1枚めくり、そのカードのランクに対応した山の下に差し込む。その後差し込んだ山の上のカードをめくる。以降繰り返し。
  • 13(K:キング)が4枚めくられると終了。そのとき全てのカードがめくられていたら「勝ち」。

実際に遊びたい方はこちら(要Java)。
http://homepage3.nifty.com/puzzlehouse/kg38/kg38.html

いわゆるソリティアなのだけど、最初に知った本では占いとしていた。「勝ち」にならなくとも4枚が表向きになった山があればその時刻を「幸運の時間」と解釈するとか、あるいは一年のうち何月が幸運かとか(それは時計じゃないだろうと思った)。
これで遊んでいるとき、どうしていつも4枚目のキングがめくられたら終わりになるのか、その仕組みが分からなかった。今ではわかる。中央の山から始めるのだから、ゲーム中中央の山だけは常に3枚、他の山は4枚ずつある。他の山は4枚目がめくられてもまだ裏向きのカードがあるが、キングだけは4枚目がめくられるとそれを中央の山の下に差し込んで、その上には裏向きのカードがないためそれで終わりになる。良く考えたら当たり前だった。
あちこちとめくるカードが移動するけれど、やっていることは要するに52枚のカードを1枚ずつめくるだけだ。4枚目のキングがめくられたらそれで終了で、それまでに全てのカードがめくられていたら勝ち、ということは、ある規則に沿ってめくられるカードの列を、その規則に沿って並べ替えたとき、その最後のカードがキングであればいいわけだ。なのでこの「時計」の勝率は1/13ということになる。




ひとつの部品が次の部品を動かすスイッチになっていて、その次の部品もまたそのまた次の部品を動かすスイッチで・・・と書くと思い出すのは、多湖輝「頭の体操」で読んだあの問題。

頭の体操〈第1集〉パズル・クイズで脳ミソを鍛えよう (光文社知恵の森文庫)

頭の体操〈第1集〉パズル・クイズで脳ミソを鍛えよう (光文社知恵の森文庫)

四体のロボットABCDが部屋の四隅に一体ずついる。Aにだけスイッチを入れると壁沿いに移動し、Bの場所まで移動するとBのスイッチを入れ、自分はBの居た位置に停止し、スイッチは切れる。Bはまた壁沿いに進みCのスイッチを入れ、またそこで止まる。このような仕組みに作られた四体は、この調子でいつまでも部屋をグルグルと回り続けることになると思っていたら、そうはならなかった。なぜか。

うろ覚えだがこんな問題だった。答えは、四枚の十円玉か何かを使ってやってみればすぐに分かる。




さらに連想。これを使った恐怖のトリックが「世にも奇妙な物語 映画の特別編」で使われていたのを思い出す。

世にも奇妙な物語 映画の特別編 [DVD]

世にも奇妙な物語 映画の特別編 [DVD]

飛行機事故により雪山で遭難した四人が山小屋に入る。山小屋の部屋には四隅に一つずつベッドがある。みな休みたいが全員が寝ると凍死してしまう。そこでまず三人それぞれのベッドで眠り、残る一人が自分のベッドの位置で寝ずの番をすることにした。三十分経過したら起きている者は壁沿いに移動し、その先のベッドに寝ている人を起こして、自分はそのベッドを奪って寝る。これを繰り返すことで常に誰かは起きていることになり、寝すぎて凍死するのを防げる。この方法で何周かしたところで、恐ろしい事実に気付いた。何者かがいると。


あと僕はこれが好きです。

そう、あれは急な吹雪に危うく遭難しかけた時の事
http://kakushide.blog69.fc2.com/blog-entry-366.html