わからなくなってきました。エレキコミックが。

注意:以下の文章にはエレキコミック第13回新作発表会「デタラメ・オン・ザ・ビーチ」のネタバレが含まれています。
初めて彼らを見たのは5年前。お台場でのラーメンズとの合同ライブだった。そのとき見た新聞勧誘員のネタは呼吸困難になるほど面白かった記憶がある。海上を出るころには既に彼らの第5回新作発表会「せみ」に行くことを決めていた。
日曜に13回目の新作発表会「デタラメ・オン・ザ・ビーチ」を見た帰り、そんなことを思い出していた。かつては生で一度ネタを見ただけで単独ライブを見てみたいという気持ちを持っていたエレキに、今ではもう特別な思いを持っていない自分に気がついたのだった。
回りくどい言い方を避けるなら、単純に笑えなかったのだ。
昔は笑えたコンビが今は笑えなくなる。別に珍しいことじゃないのだろう。他にもっと面白い芸人を見つけてしまい、自分の中の「笑う基準」が変われば「好きな芸人」なんて総とっかえになる。だがエレキに関して言えば、果たしてそれだけで片付けれられるのだろうか。ラーメンズよりも後に知ったコンビであるのに。
第5回単独で笑えた自分が、その後単独を見続け、そして第13回でとうとう笑えなくなった。正直に言えばその兆候は感じていたのだが、では変わったのはエレキコミックの2人なのか、あるいは自分自身なのか。
ネットで今回の単独を見た人の意見を探してもさほど悪い意見を目にしない。前回・前々回と比べても良くなっていたという意見まで見付かる。だからよけいにわからなくなるのだった。
単純に飽きたのかもしれない。確かにオープニングは毎回恒例の生中継だし、最後の「音響コント」は過去の単独で連続してやったネタの単なるシチュエーション違いだ。
あるいは彼らの笑いの底が見えたのかもしれない。今回のネタ「ユーモア教室」でやっつんが自分で言っていたように、彼らの「引き出し」はそれほど多くない。それを見尽くしただけなのかもしれない。
いや、それにしたって今回のはどのネタを見ても、また幕間に流される映像ネタすらもあまりにも笑えなかった。今までだって「ネタはダメでも映像はまだ…」という単独はあったが、今回は恒例の「バカレコ」すらも。今回は大相撲名古屋場所の映像にアフレコをかぶせていて、どうも急場で作ったような印象だと思ったら、調べてみれば名古屋場所って先々週始まったものであることがわかった。
そうだ。
どうしても彼らが自分たちのライブを真剣に「作っている」ように見えないのだ。言い換えれば完成度が低い(ように見える)のだ。
彼らの持ち味である「バカ」は(とここで明記されるのも迷惑だろうけど)確かに今回も健在だったのだけど、オープニングの生中継ではどうしてもダラダラした時間ができて埋めきれていなかったし、ネタもそれぞれ弱かった。映像ネタはここ最近やったイベント関係のものを流していただけだったし。
こうして細かく書いてみると、過去の単独との差がはっきりしてきた。最近のネタに見られる「一種類のボケを繰り返して終わる」タイプではなく、以前はひとつのネタ内のボケの種類が多かったのだ。やっつんシリーズ(「バーガー・レストラン・バーバー・旅館等)なんかは意味のある台詞がネタの最後までちゃんと続いていた。濃度が高かったのだ。
この「今と昔の差」が、単に昔のようなネタが今回の単独ではたまたま含まれていなかっただけだったらいいのだけど、どうなんだろう。実は僕は第11回「ノースリーブ」を見て今回と同じようにエレキに失望し、次の単独「ソーイング」を見に行かなかったのだった。そうしたら「第12回はエレキの原点回帰って感じだったよ」という意見を聞いたので今回のを見に行ったのだけども。つまりその回ごとにアタリハズレがあるのであれば、まだ今回のは(自分にとって)たまたまハズレだったということで、まだエレキを見捨てずに済むのだけど。