ここ数年は絵も雑ですよねこの人。

5番6番という漫才コンビのネタにこんなのがある(以下うろ覚え)。

「そのうち教科書も全部マンガになっちゃったりしてね。国語の教科書なんかも全部マンガ。走れメロスも。4コママンガで。」
「4コマじゃ少ねえだろうよ。」
「大丈夫だって。1コマ目、『私の名はメロス。王様に捕まって死刑が確定してしまった。でも私はどうしても妹の結婚式に出なければならない。刑の執行日までに帰ってくる事を約束したのだけど、信用しない王様は代わりに私の親友のセリネンティウスを身代わりに…』」
「長えよ!そんな文字ばっかりのマンガないだろうよ!」



最後のツッコミを聞いたとき、「いや、あるよそういうマンガ。」と一つの作品が思い浮かんだのだった。

日露戦争物語―天気晴朗ナレドモ浪高シ (第21巻) (ビッグコミックス)

日露戦争物語―天気晴朗ナレドモ浪高シ (第21巻) (ビッグコミックス)

以前にもこの作者は源氏物語をマンガ化していたのだけど、こちらはもう原稿の面積の大半が文字で埋め尽くされたものだった。上の漫才のように「教科書よりもマンガで読んだ方が内容が頭に入りやすい」という効果を狙ってのものだとしたら大間違いだ。何しろ文字の間に申し訳ない程度に描かれた人物の姿は単に顔だけだったり、その横に名前が書き足してあるだけのものだったりと、本当に単なる「教科書の挿絵」でしかなかったからだ。
別にマンガの定義をしたいわけじゃない。文字ばっかりのマンガを「こんなもんはマンガじゃない」と言いたいわけじゃないが、「文字と挿絵だけの内容」をマンガ誌に載せる意味はないと言ってもいいだろう。



日露戦争物語は、話が日露戦争まで行かないまま連載打ち切りが決定しました。