カイジの「あの方法」はどの程度有効なのか

(以下の文には「賭博堕天録カイジ」のいま連載されているあたりのネタバレを含みます。単行本派の方はご注意を。)
ようやく17歩が決着したカイジ。牌に紙を貼って白に見せかけるというトリックはまったく予想を超えるものであったわけだけど、しかしあれってずいぶん危なげな方法じゃなかっただろうか。使えるのは次局でなく次々局で、かつ相手の山に積まれたらバレてアウトだ。
カイジが牌に紙を貼ってから勝つまでにどの程度リスクがあったのだろうか。

  • 紙を貼るトリックを仕込んだ局は事実上勝ちを捨てている。この局を引き分けで凌がなくてはならない。
  • 次の局は普通に対戦。ここで勝ったら問題なし。負けたらアウト。
  • いよいよトリックありの局になったとき、1/4で相手の山にニセの白が積まれアウト。正確にはドラ表示牌にめくれてもアウトだから(さすがに気付くだろう)35/136か。
  • さらにカイジの山にホンモノの白が1枚も積まれなかったらトリックが使えない。山を開けたら白が5枚あることがバレるからだ。その確率は102P4/136P4=(102*101*100*99)/(136*135*134*133)=31.2%もある。このとき再び仕切り直し。
  • というかそもそもニセの白がバレる可能性もあるだろう。甘く見積もって10%としようか。
  • 以上の条件をクリアしても、こちらの当たり牌を切ってくれるより先にこちらが振り込むかもしれない。これも10%とする。

以上を計算してみよう。普通に対戦したときの結果が勝ち・負け・引き分けとなる確率の比を仮にそれぞれ1:1:2とし、カイジがトリックを仕込んだ時点での「生き残れる確率」をxとする。
まずこの局はカイジの勝ちはないので比は0:1:2に変わり、引き分けに持ち込める可能性は2/3に下がる。次局は通常通り対戦。1/4で勝ち、1/4で負ける。1/2の確率で引き分けに終わればいよいよ種ありの山で対戦。ここで35/136でアウト。残り101/136のうち、31.2%で仕切り直し。見事68.8%の確率でホンモノの白を手にし、90%の確率でニセの白がバレず、さらに90%の確率で相手が先に当たり牌を切ってくれる。ここまで。

x = 2/3 * ( 1/4 + 1/2 * 101/136 * ( 0.312x + 0.688 * 0.9 * 0.9 ) )
= 2/3 * ( 1/4 + 0.371 * ( 0.312x + 0.55728 ) )
= 1/6 + 0.248 * ( 0.312x + 0.55728 ) )
= 1/6 + 0.077x + 0.138
0.923x = 0.305
x = 0.330

ざっと計算して33%の確率で勝つ、となった。
なんだ。普通に勝負した方がいいじゃん。