芸人に「価値」を付けるということ

ソフトバンクが新たな笑いの祭典『S-1バトル』3月からスタート 賞金総額は2億2千万円
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090129-00000009-oric-ent

数年前の大みそか、日テレの特番でエンタ系芸人を集めてネタをさせ、投票で1位を獲得した芸人が1000万円もらえる、という企画があった。ネタはみなどこかで見たことがあるようなもので、おそらく芸人達はその企画に対する十分な準備も気合もなかったのだと思う。ちなみに優勝は陣内智則だった。
どう見てもその数日前にテレ朝で放送されたM-1を意識したものであった。「おなじようなもの」が氾濫すればするだけそれ一つの価値は薄くなる。これでM-1の価値も地に下がるかと思ったら、さほど話題にもならず、翌年その企画を目にすることはなかった。ただ陣内智則が得しただけだ*1

M-1、R-1とくれば、ならばコント日本一を決める大会も見てみたいと思うのは自然な考えだと思う。そうしてできたC-1ならぬ「キング・オブ・コント」は、まああのような事になってしまったわけである。すべては大会というものに対する姿勢の問題だと思う。出場者に対し、公平に、真摯に接するという姿勢がなければ、出場者が、それらが演じるネタが、そのネタを見せる大会が、価値がないものに見えてしまうからだ。
「いちばんおもしろいもの」を決めると銘打つならば、出場者もスタッフも司会者も「おもしろいもの」にだけ価値を付けようとするべきだろう。

S-1が成功するかどうかはわからない。これによってM-1をはじめとする他の大会の価値が下がるかどうかわからない。一億円もらった芸人の人生がどう変わってしまうのかなんてわからない。
ただ願うのは、その大会によって「芸人に価値を付けること」の価値が下がってしまうことだけは避けてほしいのだ。

*1:ラジオで「本当にもらった」と語っていた