映画「マイケルジャクソン THIS IS IT」みたよ

http://www.sonypictures.jp/movies/michaeljacksonthisisit/
以下ネタバレとセットリストバレ。
マイケルのファンであったわけでも、今回やるはずだったこのツアーに興味があったわけでもない。だから見に行ったのは本当に気まぐれの思いつきだったのだけど、これほど夢中にされるとは思わなかった。
この映画は幻となった世界ツアー「THIS IS IT」の、マイケル個人用に撮影されたリハーサルの映像を編集したもの。リハーサルだからマイケルは曲の途中で歌うのをやめたりスタッフの指示を出したりもする。でも基本は演出も含め本番同様。つまりこれは事実上のツアー「THIS IS IT」のコンサートビデオと言っていい。
参加したダンサーやミュージシャンへのインタビューやオーディション風景なんかも挿入されるがそれはほんのちょっと。メインは観客が最も見たがるマイケルのパフォーマンスだ。それが1時間50分たっぷり見れる。しかも意外に知ってる曲が多くて嬉しい。残りの知らない曲でも充分"見れる"。曲を聞いてるんじゃない。マイケルを見ているんだから。
以下セットリスト。ほら、意外とスタンダードな曲が揃ってるでしょ?

1、Wanna Be Startin' Somethin'

2、Speechless

3、Jam

4、They Don't Really Care About Us

5、Human Nature

6、Smooth Criminal

7、The Way You Make Me Feel

8、Jackson 5 Medley: I Want You Back, The Love You Save, I'll Be There

9、Shake Your Body

10、I Just Can't Stop Loving You

11、Thriller → Threatened

12、Who is it

13、Beat It

14、Black or White

15、Earth Song

16、Billie Jean

17、Man in the Mirror

18、This Is It→Heal The World→Human Nature

鳥肌が立ったのは「Smooth Criminal」。かつて子供の頃に映画「ムーンウォーカー」で見たのとまったく変わらないマイケルのダンスが、ほらあの帽子を押さえて首をカクカクっとするあのダンスがそこにあった。それを厳しいオーディションをくぐり抜けた超一流のダンサーと共に踊る。そのダンサー達の踊りはものすごいキマってる。でもマイケルはもっとキマってるんだ。
ステージからスタッフにやや強めの指示を出したあと、すぐに「怒ってるわけじゃないんだ これは愛なんだよ L-O-V-E」とフォローするマイケルがキュートだ。御年50のオッサンを見てキュートと思うのもどうかと思うけど思ったんだから仕方ない。

ところでこの映画、マイケルの追悼作品であるという印象がまったくない。スクリーンの中のマイケルはただこれまでと同じように歌い、踊っている。スタッフや共演者へのインタビューはマイケルの生前に撮られたものであるし、スタッフロールの後に出るのも恐らくはコンサート会場で映し出されるはずだったマイケルからのメッセージ「Heal The World」だけであり、マイケル自身の冥福を祈る旨のものはない。恐らくは意図的に、マイケルの死を意識させない作りになっている。そう、スクリーンの中のマイケルは死んでなんかいないのだ。
画面はそのメッセージの後さらにもう一度リハーサル映像に戻る。曲が止まったまま「まだ演奏を始めないで こうしてジャケットのボタンをかけたりして 観客をじらす」と演出を指示するマイケル。そして突然映画は終わる。そういえば最近テレビの追悼特集でコンサート中マイケルはよく曲を止めたまま静止して観客をじらす演出をしていたと知った。じゃあ今こうしてマイケルがツアーを開始しないまま眠っているのはひょっとして、世界のファン達をじらしているだけなのか。ならばいつまで待てばいい?