コウモリかと思ったら鳥だった

浦沢直樹BILLY BAT」を読んだ。2巻まで。

BILLY BAT(1) (モーニング KC)

BILLY BAT(1) (モーニング KC)

BILLY BAT(2) (モーニング KC)

BILLY BAT(2) (モーニング KC)

毎作ツカミが巧すぎて途中で読むのをやめられなくなる浦沢作品、今作もご多分に漏れず引き込まれた。
未読の方にも是非読んで頂きたいので、以下は既に少なくとも2巻まで読んだという方のみ「続きを読む」をクリックして頂きたい。
読んだ範囲で言えば、この作品の舞台と時代はコロコロと変わる。戦後の日本で起きた殺人事件をめぐるミステリーかと思ったら、今連載しているのは伊賀の里での忍者ものだ。
共通しているのはその時代の人間に「忠告」するコウモリだけである。コウモリは忠告するだけで、何も与えず、何も奪わない。
そしてコウモリは「これから起こること」を知っている。知った上で人間に「忠告」するのだが、時として人間はそれに逆らう。コウモリの姿はその人にしか見えず、声はその人にしか聞こえない。

現在のところ、これらの時代と人をつなぐ共通項は見あたらない。ユダのエピソードもあっと言う間に終わってしまってほったらかしのままだ。しかしおそらくは浦沢直樹のことだから間違いなく、これらのエピソードは繋がり、一つの壮大な話となるのであろう。2巻まででもその信頼が持てる。

前作「PLUTO」でアトムを描いた浦沢は、今度はとうとう自ら「火の鳥」を描くつもりらしい。あのコウモリはまさにそれだ。