やっぱりちゅんまがわからない

一萬二萬三萬四萬五萬六萬四筒五筒六筒七索八索九索九索 フー(ロン)九索
この手、中国麻将を覚えた人なら誰でも一度は戸惑った経験があるのではないだろうか。花竜(8点)・平和(2点)・連六(1点)の他に喜相逢(1点)を申告して同卓者に「喜相逢と連六のどちらかしかつかないよ」と注意された経験が。
どうやら中国麻将には「(A)3面子手役が成立するとき、これら3面子のうち1つと残る1つの面子で構成される2面子手役は1つしか認めない」というルールがあるらしい。上の例では、一萬二萬三萬四筒五筒六筒七索八索九索で3面子手役である花竜が成立している以上、残る第4の面子四萬五萬六萬と組み合わせて出来る連六(一萬二萬三萬四萬五萬六萬)と喜相逢(四萬五萬六萬四筒五筒六筒)の両方は成立しないというものだ。
同時に「(B)同一役の二重成立は、2面子手役では許され、3面子手役では許されない」というルールも存在するらしい。
例えば二萬三萬四萬二筒三筒四筒六索七索八索六萬七萬八萬西西は喜相逢が、三萬四萬五萬六萬七萬八萬一索二索三索四索五索六索七筒七筒では連六が、それぞれ二重に成立する。しかし以下の手では、それぞれ三色三歩高・三色三節高・一色三歩高の二重成立は認められないらしいのだ。

二萬三萬四萬三筒四筒五筒四索五索六索五萬六萬七萬西西
二萬二萬二萬三筒三筒三筒四索四索四索五萬五萬五萬西西
五筒六筒七筒 三筒四筒五筒 一筒二筒三筒 二筒三筒四筒 西西
それぞれ第1・第2・第3面子と、第2・第3・第4面子とで3面子手役が成立している(ように見える)。

(ちなみに。このような「3面子手役が二重成立しているように見える手牌」を考える場合、第1面子と第4面子が同一の順子であればいくらでも作れる。例えば一萬二萬三萬四筒五筒六筒七索八索九索一萬二萬三萬西西は花竜が二重成立しているように見える手牌である。実際は花竜・一般高であるが。)
ついでにもう一つ。「(C)2面子手役の成立に使われた面子二つで構成された2面子手役は認められない」らしい。
例えば一萬二萬三萬七萬八萬九萬一索二索三索七索八索九索西西は、
一萬二萬三萬七萬八萬九萬で老少副、
一萬二萬三萬一索二索三索で喜相逢、
一索二索三索七索八索九索で老少副、まではいいのだが、新たに七萬八萬九萬七索八索九索での喜相逢が認められないらしい。七萬八萬九萬七索八索九索も既に2面子手役の構成に使われいたからだ。
それどころか、もしこの時に「老少副・老少副・喜相逢」の順に申告してしまうと、最初の二つの老少副しか認められなくなってしまう。一萬二萬三萬七萬八萬九萬で第一の、一索二索三索七索八索九索で第二の老少副を申告した後では4面子全てが使用されたことになり、一萬二萬三萬一索二索三索七萬八萬九萬七索八索九索のどちらの喜相逢も認められなくなるのであった。
同様に、三筒四筒五筒六筒七筒八筒三索四索五索六索七索八索西西でも連六・喜相逢・連六までは認めても、ここにもう一つ喜相逢を認めることはできない。また「連六・連六」の順で申告すると喜相逢は一つも認められなくなる。
(この「認められなくなる」はどの程度厳しく裁くのが一般的なのかは定かではない。一度でも「老少副・老少副」の順で申告してしまうと修正はできないのだろうか。)
以上(A),(B),(C)の3つのルール、いずれも「手役の成立に使用された面子を他の手役に使う際のルール」である。何も上のように煩雑に書く必要などなく、どこかに簡潔に書かれた「役の成立の大原則」のようなものがありそうだが、目にした事はない。一つ一つの例に対し、それが成立するかどうかにいちいち疑問を持つことで解決していくしかないようだ。
そもそもこれらのルール、入門書や紹介サイトなどを見ても完全に明文化されているものを見たことがないのだが、中国麻将に詳しい人と対戦すると決まってこう言われる。以前にも書いたが、公式なルールの設定と、それに対する初心者向けの分かりやすい解説が必要だと思われる。81種の手役表を見ただけでははっきりしないことがたくさんあるのだから。
さて、ここでその「はっきりしないこと」をまた一つ挙げたい。上の3つのルールが存在するという仮定で、じゃあこれはどうなんだという例を。

二筒二筒二筒三萬三萬三萬西 ポン三索三索三索 ポン四萬四萬四萬 フー(ロン)西

この手、三色三節刻(8点)、ポンポン和(6点)、双暗刻(2点)、双同刻(2点)、単釣将(1点)の、計19点の上がりと申告したいのだが、いいのだろうか。どうもルール(A)に反しているように思えて仕方がないのだ。
二筒二筒二筒 三索三索三索 四萬四萬四萬の三色三節刻は3面子手役であり、残る第4の面子三萬三萬三萬とで構成される、二筒二筒二筒三萬三萬三萬での双暗刻と三索三索三索 三萬三萬三萬での双同刻はいずれも2面子手役である。ルール(A)を参照すれば「双暗刻と双暗刻のどちらかを認めない」とするのが正しいのであろうが、実戦で上の手を上がったとして、果たして誰が止めるだろうか。
役の複合法則を完全に理解している方、いらっしゃいましたらご教授下さい。このままでは今後誰かに中国麻将を教える機会があったとしても、「そのルールで正しいとする根拠は?どこかに書いてるの?」と聞かれたら答えられません。