そこにないものを、そこにいない人を描くということ
「モテキ」、2巻22ページより。
- 作者: 久保ミツロウ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/21
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子供の頃に読んだギャグマンガはいろいろあったけれど、そのうちの一つ「ハイスクール奇面組」もこうした「キャラクターがギャグとして様々な格好に扮装する」シーンが多くあった。
たとえばこのような(ただしこれは続編「フラッシュ!奇面組」より)。
- 作者: 新沢基栄
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2002/07/22
- メディア: コミック
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ギャグマンガの古典で、多くの後続ギャグマンガ家に影響を与えたと言われる「マカロニほうれん荘」を読んだのは大人になってから。この作品でも同様にギャグのシーンで様々な扮装をするのだけど、驚くことにその扮装に使った衣装や着ぐるみを洗濯して干すシーンがある。つまりこの作品内での衣装はすべて実在するもので、キャラ達はギャグのために素早く着替えていたということになっているのだ。やや無理はあるものの、当時はまだ「コマの中に描かれた絵はすべて目に見えるもの」という原則があったらしい。考えてみればそれが自然なのだけど。
ところで。
先日「B型H系」を読んだ。
- 作者: さんりようこ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/02/18
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で、このツッコミなのだけど、これがたまに「その場にいないキャラ」が担当することがあるのだ。
主人公山田の自室での独り言。このときコマ左下の竹下はこの部屋にいないはず。
で、読み進めていくと「エロ神」というキャラが登場する。守護神というような設定だが要するに役割はツッコミだ。なるほど、さすがに不自然だと思ったのか、いつ登場してもいいキャラをツッコミにあてがうようにしたのか。
ところがさらに混乱する。さらに後の巻ではこのようなシーンが。
やはりツッコミとして登場するキャラはその場にいるらしい。いずれにせよ、この時点*1ではやはり「その場にいないはずの人」をギャグのために登場させるのに抵抗があるようだ。読者である自分もそう思う。
では今後はどうなるのか。これから数十年したらもうそんなことを気にする読者はいなくなるのか。そして古典としてこの「B型H系」を読んだとき「この時代のマンガにはコマの中に描かれた人物はすべてその場にいないといけないというルールがあったんだなあ」と思われるんだろうか。
*1:連載時は2008年