男の子の知らないマンガの世界
バルバロッサは母と二人、城で暮らす美少年。だが母の浪費癖により父の遺した貯えは底をついてしまう。富豪のシュレンジャーはバルバロッサを我が物にしようと、これまでの借金の棒引きに加え5万ポンドを条件に彼を預かりたいと母親に申し出る。あっけなく承諾する母の言葉を立ち聞きしてしまうバルバロッサ。絶望し、しかし母のために「今夜、一度だけ」とシュレンジャーの望みを受け入れてしまう。
一夜を終え、城を飛び出すバルバロッサ。そこで陸軍元帥と出会ったことをきっかけに、彼は大英帝国の情報部に入ることになる。
けっこうな重いエピソードだと思うのだけど、これがお友達に借りて今読み進めている「パタリロ!」からの抜粋なのだから驚きだ。クックロビン音頭以外まったく知識がない状態で読み始めたのだけど、掲載誌の「花とゆめ」っ小学生女子が読むもんだと思っていたし、「パタリロ!」ってマンガはただギャグに溢れた作品だと思っていたもんでかなりの衝撃だった。しかも上のエピソードはパタリロの相棒バンコランの少年時代のエピソードなのだ。切り捨てられるようなキャラでなく主要キャラのそれ。
- 作者: 魔夜峰央
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1979/11/01
- メディア: コミック
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引っかかるのはこの能力の描写。バンコラン自身が美しいから他の男が魅了されるのはまだわかる。わからないのは、なぜ効く相手も美少年でなければいけないのかだ。自分の容姿と自分の好みに関係があるわけでもないだろう。いや、この世界ではあるらしいのだ。
そもそもこの作品の中では「少年愛」という概念がいやにあっさり登場する。美しい男同士は恋に落ちて当たり前だという考えだ。こちらも、とりあえず同性愛というものに対してはそこそこ知識があるつもりだが、それが少年愛となるともうどう対応していいかわからない。わからないけどもとりあえずそういうものなんだろうなあと推測しながら読むことはできる。
パタリロというギャグキャラがドタバタと暴れ回っているその一方、バンコランはベッドで敵の美少年スパイを「落として」いる。その描写も容赦がなく、美少年の下腹部に手を、そして顔をあてがうシーンまではっきり描かれているのだ。このご時世だから余計に大丈夫なのかと心配してしまうけど、いやいや当時だって少女読者達はこれをどう解釈していたのだろうか。
自分はこれまで美少年だったことがなかったせいか、少年愛というものを経験したことも遭遇したこともないのだけど、これほど当たり前のように「あるもの」として描かれてしまうと結構世にありふれているものなのかと思ってしまう。おそらくは世にではなく少女マンガの世界にだけありふれたものだとは思うのだけど。
7巻より。おいおいワセリンて。